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zoom RSS 吉坊「景清」、銀色の世界。「吉坊・一之輔二人会」

<<   作成日時 : 2017/07/13 15:28   >>

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7月10日の「吉坊・一之輔二人会」は吉坊さんが圧倒的に
よかった。
爆笑系不条理噺もシリアスな噺も、どちらも抜群の冴え。
落語の自由奔放な面白味を堪能しました。

1席めの「胴斬り」。
落語には不条理な噺がたくさんありますが、この噺はその筆頭
といっていいでしょう。
さらにまた、落語国の住人には気楽な男がたくさんおりますが、
この主人公ほど気楽なヤツはいないでしょうね。
その不条理+気楽の仰天世界をごく当たり前の世界ように
淡々と演じました。

胴斬りされて用水桶の上に上半身だけ乗ってしまった男。
驚きとボヤキが可笑しい。自分の身に起こったことがようやく
理解できて、今後のことが心配なのか声が頼りない。
しかし風呂屋の番台の仕事にありついてからは、不安がなく
なったのか、元気を取り戻す。

一方、足のほうはというと、切られた直後はものが喋れない。
歩くのも不自由なくらいだったのに、麩屋で働くようになってからは、
えらいもんですな、ちゃんと喋れるようになった。
「どこで喋ってるんや?」と聞くと、やっぱりあそこか。
「そこしかないわな」

足が歩いたり麩を踏んだりするときは、手の指で表現しましたが、
それがまた可笑しい。広い日本橋劇場でのこの演技。
「2階のお客さん、見えてますか?」
吉坊さん、余裕の気配り。

笑いのツボをしっかり押さえて、不条理な世界を真剣にかつ
ていねいに作り上げたその技術に、脱帽。

当日の番組
・前座(朝太郎):「一目上がり」
落ち着いた高座ぶり。大物になるような予感がします。

・吉坊:「胴斬り」

・一之輔:「酢豆腐」
つまみになるものを考えてくれといわれた男が、「屋根に上がって
風を食う」。
いいですねえ。一之輔さんの噺には、時々こういう浮世離れした
詩的なセリフが飛び出すことがあって、油断できません。

もう一つ可笑しかったのが、爪楊枝をつまみにしようという男に
対して、「歯クソを食いながら酒を飲むのか」と現実的な反応を
示したことですね。
ここまでいう噺家さんはいないんじゃないかな。

豆腐を口に含んだ若旦那の顔が、国芳の描く「水滸伝」シリーズの
なんとかいう豪傑によく似ていたのも可笑しかった。

仲入り
・一之輔:「皿屋敷」
これはちょっと悪ノリしすぎではないでしょうか。
人気の出たお菊さんがユニットを組んで、その名前がOBK48
(OBK=オバケ)ってんですがね。
それ以降はグループの活動紹介になってしまって、要するに
現実をなぞっているだけの内容になってしまいました。
初めのうちこそ面白いですが、すぐに飽きてしまいます。
崩すのだったら、もう少し意表を突いただれも予想しないような
ものにしてほしいものです。

まあ、このあとは吉坊さんが「景清」で締めてくれると思って、
思い切り羽目を外したのかもしれません。

・吉坊:「景清」
時間がないのか、マクラなしでいきなり本編へ。そしてその瞬間、
「景清」の世界に客席全体が引きずり込まれました。

定次郎の内面の揺れが見事に浮き彫りになりました。
清水参詣100日目の満願の日、観音に悪態をつき、甚兵衛さんに
胸の内を吐露する場面で、ワタクシは思わず涙が流れました。
後半の一部で、甚兵衛さんがやや若くなってしまったところが
ありましたが、大勢には全く影響がありません。

観音堂の前で雷に打たれて以降の場面は、銀色の光に包まれて
いるように感じました。本当に荘厳の世界でした。
圧倒的な語りと演技でした。

一之輔さんの崩しに崩した噺の後だけに、吉坊さんの端正さが
ひときわ光りました。

ところでこの噺のサゲはいくつかあるようですが、吉坊さんが
選んだものは、小佐田定雄さんの『米朝らくごの舞台裏』によれば
先代の米団治師匠が作ったものだそうです。
精神世界から現実世界に連れ戻すいいサゲでした。

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