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zoom RSS 拡大複製画がありがたい「バベルの塔」展

<<   作成日時 : 2017/05/04 17:54   >>

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会場に入ってすぐに「アレ、会場を間違えたかな?」と
うろたえて、入り口の展覧会名称を確認してしまいました。
というのも、入ってすぐのところに小ぶりの仏像らしきものが
何体も並んでいたからです。

ブリューゲル「バベルの塔」展なのに、なんで仏像が?
と思ったわけですが、しかしそれは仏像ではなく、16世紀
ネーデルランドの彫刻で、ヨーロッパの聖人などの木彫なの
でした。
高さは30センチから70センチ程度で、主にオーク材が
使われているようです。
顔や手は言うに及ばず髪の毛やヒゲなどもていねいに
彫られています。リアルで個性的に見えました。
ひび割れを防ぐために大きく内繰りがなされています。
仏像と違うところは、フタをせずにそのままにしている
ことです。
また奥行きの短いものは平らなままです。
仏像と同じように正面から見るためのものなのですね。

表現で仏像と大きく異なるところは衣文線の扱いです。
これらの聖人の衣は、布というより硬めの紙でできている
ように見えます。衣の線がなめらかではなく、ゴワゴワとした
大きめの折り目が付いているようです。
手で触るとガサゴソと音がしそうです。
あの源頼朝像のような感じ。

ほとんどの彫刻の衣装がそういう表現なのですが、これは
しかし、彫刻に限ったことではないようです。
彫刻が作られたのとほぼ同時代(1500年前後)の画家
ヒエロニムス・ボスの「聖クリストフォロス」の赤い衣も同じように
描かれています。紙の衣のような硬い折り目の線です。
こういう表現が当時の流行だったのでしょうか。

ところで、クリストフォロスは子どものキリストを背中の上のほう
(首の上)に背負い、その下に赤い衣を無造作にからげるというか、
ガサッとまとめており、異様なまでに膨らんでいます。

ワタクシにはその膨らんだ衣が人間に見えて仕方ありません。
キリストの衣の裾に頭を突っ込み、両手をクリストフォロスの
腰に回しているように見えるのです。
何だか異様な悪魔かはたまた神か。落語でいえば死神か貧乏神
の類か。そんなものが背中にくっ付いているようなのです。
クリストフォロスの将来やいかに・・・
(これは何かの暗喩なのでしょうか?)

ボスは美術界に多大な影響を与え(もちろんブリューゲルにも)、
その模倣がたくさん作られたとのこと。それらが何点も展示されて
いますが、もう何でもありですね。
「奇想」というより「奇怪」です。
作者不詳の「様々な幻想的な者たち」は日本の「百鬼夜行」
そのもの。

さて、目玉の「バベルの塔」。
「芸術新潮」の特集でしっかりと予習をしてから現場に臨みました。
数えきれないほどの人物や建設機械・道具・資材、周囲の風景や
船、少し離れたところにある島の処刑場!などなど、ありとあらゆる
ものが精緻に描き込まれているとのこと。
しっかり見るためにギャラリー・スコープも用意してその場に
向かったのです。

しかし!
絵は小さい(約60センチ×75センチ)し、絵に近づけないように
してあるし、おまけにお客さんが十重二十重に(あくまでも慣用句
ですよ。実際は三重四重くらい)取り巻いているしで、細部なんて
とてもじゃないがわかりません。ギャラリースコープもまったく
役に立ちません。

こういう絵はやはり至近距離からじっくり見ないと面白くありません。
人が少なくなるのをじっくり待って、なんとか一番前に出ることが
できたのですが、それでもワタクシの目には遠すぎてさっぱり
わかりませんでした。
「バベルの塔」は目にしましたが、絵は見えませんでした、って
とこですかね。

いささかガッカリして、これなら印刷のほうがいいなあと思いながら
後ろを見ると、なんと東京芸術大学「COI拠点」というところによる
拡大複製画が展示されていました。
印刷ではなくコンピュータ処理を基に、研究員が筆のタッチ、
絵の具の量まで忠実に再現して作成したものらしい。おまけに
こちらはすぐ近くまで寄れます。

ワタクシにはこっちのほうがいい。これで十分ですがな。
ボイマンス美術館も今後はこの複製画とセットで展示すれば
よろしいのじゃないでしょうか。

というわけで、仏像みたいな聖人像と奇怪な世界が展開する
数々の作品にとりあえず満足できた東京都美術館「バベルの塔」
展でした。

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